2020年8月の司法試験を終えた受験生へ~就活・司法修習前のアドバイス(基本とまとめ)
司法試験本当にお疲れさまでした。
今年は特にストレスが大きい試験だったと思います。
体調を崩さずに試験を受けることができたでしょうか。
さて、テストの出来不出来にかかわらず、
ここからは就活生として就活をしたり、
司法修習に向けて準備をすると思います。
私は、司法修習に入る前に、修習の情報や就活の情報についてどれを参照していいのかわからなくて困りました。
そこで、その準備についてのいくつかのポイントを整理しておきたいと思います!
1 就活について
どんな事務所に入りたいか、によって就活のスケジューリングが変わってきます。
例年のスケジュール感では、
- 初期 5月~合格発表
・・・ 四大事務所、TMI、中堅事務所 - 中期 合格発表~司法修習
・・・ 中堅、関東や地方の都市部にある小規模事務所 - 後期 司法修習以降
・・・ 全国各地の事務所
という感じです。
今年は、司法試験が遅れたので、初期と中期が一緒に来る可能性があります。
はやめに就活には着手しましょう。
全く就活をしたことがないという方がまず何をすればいいかというと、
- アットリーガルに登録する
(https://www.atlegal.jp/) - ジュリナビに登録する
(https://www.jurinavi.com/) - 学校やネットで就活のセミナーを受講する
(法律事務所志望でも、一般企業向けのセミナーを受講するのもありです。就活には、一定のやり方みたいなものがあるので、絶対受けてください。) - 行きたい事務所のホームページ(事務所概要や採用ページ)を見る
これら4つが、「必須で」合格直後にやることです。
できれば「今すぐに」やってほしいです。説明会や面接などの情報がすべてそこに書いてあります。
大手を受けたいのであれば、大手事務所のホームページにいけば、すでに募集が始まっています。
大手は、早めに行かなかったので怒られたこともあります(笑)。経験のために説明会や面接に行ってみることをおすすめします。
また、司法試験受験生の就活には、
がよく見られているようです。
参考にしてみてください。
2 修習前にすること
(1)学習面
修習1~2か月くらい前になると
- 「紙爆弾」
と呼ばれる、小さめのダンボールにぎっしり詰まった書類が送られてきます。
これには、修習で使うテキスト(「白表紙」(山中弁護士の司法研修所使用教材「第2 70期白表紙」が詳しく詳細を書いています。))が大量に入ってます。
少なくとも何冊かの白表紙は、読む必要があります。
科目によっては、word等で起案しなければなりません。
あらかじめ準備が必要なので、注意しましょう。直前に旅行に行って起案の時間がなかったなどとならないように。
また、事実認定の基礎的な事項は、このテキストを読むこと(と司法研修所の授業を聞くこと)で身につけられます(下の方に挙げたサイトにはさらに深めるためのアドバイスが書かれています)。
正直、事実認定は誰かの話を聞かないと分からないところが必ずあるので、修習に行きながら勉強するほうが見につくと思います。
裁判官や検察官を志望する(またはその可能性がある)場合は、この学習面をきちんとやっておく必要があります。
なぜなら、裁判官や検察官への任官には司法修習の成績が評価されるからです(※1)。
司法修習前にやっておく勉強としては、
- 民事の要件事実の勉強
- 事実認定に関する市販の書籍
(おすすめ本は(※2)に書いています。他にもネットにたくさんのまとめサイトがあります。) - 刑事や民事、執行保全などの手続の勉強
(実際の裁判では、司法試験では超マイナーだった論点や条文がバンバン問題になるので、勉強量が多くなります。その先取りをすると、アドバンテージになります。(※3)) - 司法試験で分かった、自分の弱点の対策
です。
このなかでも、④弱点対策は、重要です。修習では、実体法の知識が完全に身についてる前提で授業などが進みます。基本が思い出せないと、授業で当てられるので、めちゃ恥をかきます(4か月勉強しないと知識も抜けてしまうんですよね…)。
それと、③民事執行保全も重要です。これは、導入修習で余り授業されない可能性があります。そのため、自分で勉強することが前提になっています。
(2)生活面
司法修習生は、概略、以下のような生活をします。
- 和光市における(74期以降はオンライン等になるかもしれません)「導入修習」(約1か月)
- 地方における「分野別実務修習」(約8か月)
- 和光市における(73期はオンラインでした)「集合修習」(約1か月)
- 地方における「選択型実務修習」(約1か月)
- 「二回試験」(例年11月中旬。5科目を5日間に分けて行います。)
司法修習生は、ほとんどの期間を地方において過ごすことになります。
これは、修習が始まる前に、配属される地方の選択をすることができます(第6希望まで聞かれると思われます)。
希望通りにいくとは限りませんが、自分の行きたい地方に関する情報を集めておくと、司法研修所に提出する書類の作成がスムーズです。
予算や時間などに配慮して決めておきましょう。
(3)参考になったリンク
以上の情報は、序盤で司法修習生があたまに入れておいてほしい基本的な情報になります。
ほかにも二回試験の情報、勉強の仕方、地方の修習地の情報などわからないことも多々あると思います。
そこで、役に立ったリンクを張り付けておきます。
これらを見つつ情報を集めていってください。
③ 司法修習ドットコム 快適な司法修習生活のための情報サイト
3 遊ぶこと
これは大事!試験終わったので、やりたいことをやりましょう!
特に、勉強ばかりしていて趣味がないという人は、「新しく始めた自分の趣味」を持っておくと、就活のときに話すネタになります。
そして、色んな人と会っておきましょう。
法曹にとって大事なのは、「一般の人から話を聞いて法的に解決する」ことです。
様々な人と会ってコミュニケーション能力を磨いておくことは、今後大きなアドバンテージになると思いますよ♩
長くなってしまいましたが、参考になると嬉しいです!
4 注釈
※1 任官の方法について
詳しい任官の方法は、司法研修所の検察教官や民裁・刑裁教官に聞いてみましょう。
どういうポイントが重視されるのかを丁寧に教えてくれるはずです。司法修習生が自分の任官の志望を決める時期は、分野別実務修習が終えたときです(検察はクールごとに違っていることがあるので、あらかじめ注意しておいてください)。
※2 事実認定に関する市販の書籍について
民事事実認定については、①「ステップアップ民事事実認定第2版」、刑事事実認定については、「刑事事実認定入門」がおすすめです。
※3 刑事手続に関するおすすめ本
刑事手続やその実務についてはほとんど白表紙で足ります。刑事弁護に興味がある方は、「刑事弁護ビギナーズver.2.1」がおすすめです。尋問の手続や手法について理解を深めたい方は「刑事尋問技術改訂版」がおすすめです。